IR推進法(通称カジノ法案)で「我が国に相応しい清廉なカジノ」と記載がありました。はぁ!?です。
まったくもって、はぁ?です。だって「我が国に相応しい清廉なカジノ」ですよ!
このニュースをみて、ほとんどの人は「なんだそれ!?」とつぶやいた事でしょう。
美辞麗句を並べ立てて、さも正しい事のように魅せることが、滑稽に見えてしまう。
これは、日本中のあちこちで目にすることではあるのだが・・・。
たとえば、インフラ整備の公共事業などでも「そこに道路があったほうが便利だし、沿線で商売する人には良いことだけども、その費用でこっちを先に充実させたほうが、どう考えてもその恩恵にあずかる人が多いでょ!」という人は多い。
そういった人に対して、つっこまれないようにするためには、その事業の必要性やプライオリティが高いように見える美辞麗句が必要なのだろう。
もちろん、その法案や事業によって雇用や経済効果は見込めるのはわかるが、「我が国に相応しい清廉なカジノ」と聞いてもピンとこないのは私だけじゃないはず。
東京オリンピックがいよいよ近づいてきて、インバウンド対策をしたいのなら、もっと既存の観光資源に目を向けて、それこそ「我が国に相応しい」インバウンドの取り込みを図るべきではないだろうか。
そこで、僕は提案したい!
わざわざカジノを作るよりも、日本には世界のマーケットの中で、既にトップクラスのポテンシャルを備え、十分に観光資源になりえるものが既にあるのだ!
それは競馬です。
なぜ、競馬なのか、その根拠やカジノと比較した場合の競馬の優位性については、のちに説明するが、まずはカジノの世界マーケットでのポジショニングについてみんなで考えてほしい。
現在、アジア各国で合法的にカジノを楽しめる国は16カ国。全世界では132カ国でカジノを楽しむ事ができる。日本は後発で、ここに参入しようというのだ。
後発組というポジショニングを考えると、その優位性を生かす方法は確かにある。
後発の優位な所は、失敗例が沢山あり、成功例を徹底してまねる事できるので技術開発に係るコストが抑えられる事、マーケットが既にあるので宣伝広告の費用が抑えられる事、などだろうか。
しかし、法案可決までの過程をみると世界のカジノマーケットでどのように戦っていくかという議論はせずに、依存症や建設費、既存の法律との整合性などばかりが論じられている状態に、輪をかけて「我が国に相応しい清廉なカジノ」などと言っているようでは、とても世界のマーケットでは戦っていけるとは思えない。
いずれ、地域活性化だなんだと公的資金を投入して作った日本中の経営悪化した第三セクターのようになるのではないだろうか?
もちろんカジノはギャンブルなので胴元が儲かるようにできているので、さすがに赤字とまではいかないとは思うが・・・。
わざわざ法案を無理やり通してまで「清廉なカジノ」を建設するのならば、既にある資源で、その優位性を生かした、「競馬」を海外からの観光客対策としてテコ入れしたほうがコストの面からも、ポジショニングの面からも良いのではないだろうか。
競馬もカジノ同様、世界中で開催されているのだが、現在IFHA(国際競馬統轄機関連盟)に加盟している国は22ヶ国ある。もちろんIFHA加盟国以外でも開催されているようだが、国際基準となるレースを開催しているのは22ヶ国のみである。カジノの132ヶ国と比較しても随分少ない。
しかも世界のトップ100のGⅠレース(GⅠとは最もグレードの高いレース)のランクイン数を比較してみると、日本は4位につけている(2015年のIFHA発表)
豪州:26レース | アラブ首長国連邦:5レース |
米国:23レース | カナダ:1レース |
英国:16レース | ドイツ:1レース |
日本:10レース* | アイルランド:1レース |
フランス:9レース | シンガポール:1レース |
香港:6レース | 南アフリカ:1レース |
*公益財団法人 ジャパンスタッドブックインターナショナルより引用
この世界ランキングをみると、アジアではオーストラリアに次いで2位という事になる。
また、競走馬のランキングでも世界のベスト10に2頭ランクインしている。世界中で約10万頭もいる競走馬の中でベスト10に入る馬を2頭も輩出しているのだ。しかも、ここ数年、日本の競馬界は海外参戦の傾向が強くなっており、この数字はもっと良くなると思われる。
今、日本競馬に関わる人たちは、世界の中で確固たる地位を築こうと東奔西走している。いや、むしろ日本競馬は世界の中でトップクラスの地位を既に築いているのだろう。
海外から日本に来たジョッキー達は、みな一様に「日本の競馬は世界トップレベルだ。特にファンが素晴らしい」と話している。
しかも、世界の中で高い評価を受けている中央競馬、いわゆるJRAの10ヵ所の競馬場以外にも、日本中には15の地方競馬場があり、1万頭もの所属馬が300人以上の騎手たちと共に毎日、日本各地で戦いを繰り広げている。
つまり、日本では365日、毎日どこかで競馬が開催されており、現地で観戦し、その迫力を堪能するもよし、ネットで購入して馬券購入を楽しむもよし、自分に合った楽しみ方ができるのも競馬の魅力である。
しかも、世界トップクラスの競走馬達が、世界トップクラスの環境で、世界一の競馬ファンに囲まれて凌ぎを削っているのが、日本の競馬なのである。
このことは、意外と知られていない事実でもある。多くの国民は、競馬は「オッサン達の好きなギャンブル」程度の認識であるため「我が国に相応しい清廉なカジノ」を作ろうという事になるのだ。
コレでも読んで、その辺の誤解を、IR推進法を進めている議員に知って欲しい!
競馬は、歴史と文化がある、極上のエンターテイメントだ!
どうだろう、カジノよりも競馬の方が、インバウンド誘致に効果的である旨がご理解いただけただろうか。
ここまで書いておいて、いまさら言うのもおかしいが、実は僕は20代のころに赤坂にあるカジノバーでディーラーをした経験がある。
なので、カジノをプレイするのは大好きだし、IR法成立まで尽力した日本のカジノ業
界の皆様の労苦を軽視するものでもない。
カジノが合法化されれば、張り切って遊びに行く事は間違いない。
僕がいいたいことは、カジノ批判ではない。IR法整備は構わないが、観光客獲得のための戦略やインフラ整備は競馬の方が、効果的であるということを声を大にして言いたいのだ。
まるで意味のわからない「我が国に相応しい清廉なカジノ」など、画餅であることは皆
も承知しているのだから。